日本の被害の大きかった災害

目次

はじめに
被害規模が大きい自然災害9選(平成以降)
地震・津波による被害
①東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)
②阪神・淡路大震災
③熊本地震
④北海道胆振東部地震
⑤新潟県中越地震
⑥岩手・宮城内陸地震
⑦新潟県中越沖地震
⑧福井県中部地震
⑨長野県北部地震
まとめ

 

 

はじめに

 日本は自然災害が多い国として知られています。地震、津波、台風、豪雨、火山噴火など、さまざまな災害が発生し、人々の命や財産に大きな被害をもたらしてきました。では、これまでに発生した自然災害の中で、一番被害の大きかったものは何でしょうか。

 

被害規模が大きい自然災害9選(平成以降)

 ここでは、平成以降に発生した自然災害のうち、人的被害(死亡者・行方不明者数)の大きい災害、9つを紹介します。最近27年間で、1993(平成5年)~2019年(令和元年)の27年間のデータを参考にしています。

 

地震・津波による被害

 【死亡者・行方不明者数29,308名】 ※1993年(平成5年)以降の地震・津波による死者・行方不明者数の合計

  被害が最も大きい自然災害は、 地震・津波 によるものです。地震・津波の被害が毎年起こるわけではありません。しかし、ひとたび、大きな地震・津波が起こるとその被害は甚大です。

 

 

①東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)

2011年(平成23年)3
死亡者・行方不明者数 18,485
負傷者数 43,700名以上
住宅全半壊 約27万棟
総被害額 1625兆円(原子力災害、風評被害は含まず)

 マグニチュード9.0という我が国の観測史上最大の地震であり、世界でも1900年以降4番目の巨大地震でした3。広範囲に揺れが観測され、日本各地で大きな津波が発生したのに加えて、原子力発電施設の事故が重なるという、未曽有の複合的な大災害となりました。

  東日本大震災では、死者・行方不明者は12都道県でみられ、極めて深刻な被害をもたらしました。死亡者の死因は、津波による溺死が90%以上を占めました。住家についても、全壊は9都県で発生し、その数約13万棟、半壊は12都道県で発生し、その数約27万棟(平成25510日警察庁発表)となる大きな被害が生じました。

  東日本大震災では、明治以降では大正12年(1923年)の関東大震災(死者・行方不明者:約105,000人)、明治29年(1896年)の明治三陸地震(同:約22,000人)に次ぐ極めて深刻な被害をもたらしました。

 

②阪神・淡路大震災

1995年(平成7年)1月
死亡者・行方不明者数 6,437
負傷者数 43,792
住宅全半壊 約24.9万棟
総被害額 9.6兆円(直接被害額)

 平成7年1月17日午前5時46分、淡路島北部を震源とするマグニチュード7.3の、これまで耐震設計基準にも直接的には考慮されていなかった、直下型の強烈な地震が大都市を襲いました。阪神・淡路大震災は、我が国において、高齢化が進むとともに、社会経済的な諸機能が高度に集積する都市を直撃した初めての地震でした。

  死者・行方不明者6,436名(いわゆる関連死912名を含む)、負傷者43,700余名に上る甚大な人的被害をもたらしました。あまりの被害の大きさ、情報網の寸断、行政機能のマヒ状況の発生などから被害の全容が明らかになるまでには相当の時間が要しました。発災後6時間経った17日正午の兵庫県警の被害情報によると、死者200名、行方不明331名以上といったものでした。

  また、地震発生直後から、火災が同時多発的に285件も発生し、焼損棟数7,483棟、焼床面積834,663m 2 におよび、特に神戸市内において大きな被害を受けました。住宅については,全壊約105千棟、半壊約14万4千棟に及び、倒壊は神戸市長田区から海岸に沿って東側に集中しており、人的被害の発生と地域が一致していました。

 

③熊本地震

2016年(平成28年)4
死亡者・行方不明者数 273
負傷者数 2809
住宅全半壊 約43,386
総被害額 3.8兆円

 平成284142126分、熊本県熊本地方でマグニチュード6.5の地震が発生し、熊本県内で最大震度7を観測しました。その翌日の415125分には、同じく熊本県熊本地方でマグニチュード6.4の地震が発生し、震度7を観測しました。そして、416125分には、熊本県阿蘇地方でマグニチュード7.3の地震が発生し、震度7を観測しました。この3つの地震は、いずれもほぼ同じ断層帯で発生したもので、いわゆる「直下型地震」でした。

  熊本地震では、死者・行方不明者は熊本県と大分県でみられ、その数は273名に上りました。死者のうち、約半数は建物の倒壊や落下物によるものでした。また、心臓発作やストレスなどによる関連死も多くみられました。負傷者は2,809名に達しました。住宅については、全壊は約18,000棟、半壊は約25,000棟に及びました。特に熊本市や益城町などでは、古い木造住宅が多く倒壊しました。

  熊本地震では、大規模な土砂災害や斜面崩壊も多発しました。特に阿蘇山では、噴火口周辺の斜面が崩落し、巨大な岩塊が飛散しました。また、阿蘇大橋や国道57号などの交通インフラも損壊しました。さらに、熊本城や水前寺成趣園などの歴史的建造物や文化財も大きな被害を受けました。

 

④北海道胆振東部地震

2018年(平成30年)9
死亡者・行方不明者数 44
負傷者数 785
住宅全半壊 約10,000
総被害額 1.5兆円

 平成309638分、北海道胆振東部を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生しました。この地震は、深さ約37kmという浅い位置で発生した直下型地震でした。北海道全域で強い揺れが観測され、最大震度7を記録したのは厚真町でした。

  北海道胆振東部地震では、死者・行方不明者は北海道内でみられ、その数は44名に上りました。死者のうち、約半数は土砂災害や斜面崩壊によるものでした。負傷者は785名に達しました。住宅については、全壊は約2,000棟、半壊は約8,000棟に及びました。

  北海道胆振東部地震では、土砂災害や斜面崩壊が広範囲に発生しました。特に厚真町では、アツマダム周辺の山体が大規模に崩落し、川をせき止めて人造湖を形成しました。また、道内の主要な火力発電所である苫東厚真火力発電所が停止し、北海道全域で大規模な停電が発生しました。停電は最大で約290万戸に及び、交通や通信、医療などのライフラインに大きな影響を与えました。

 

⑤新潟県中越地震

2004年(平成16年)10
死亡者・行方不明者数 68
負傷者数 4,805
住宅全半壊 約12,000
総被害額 1.3兆円

 平成1610231756分、新潟県中越地方を震源とするマグニチュード6.8の地震が発生しました。この地震は、深さ約17kmという浅い位置で発生した直下型地震でした。新潟県や長野県で強い揺れが観測され、最大震度6強を記録したのは小千谷市でした。

  新潟県中越地震では、死者・行方不明者は新潟県内でみられ、その数は68名に上りました。死者のうち、約半数は建物の倒壊や落下物によるものでした。負傷者は4,805名に達しました。住宅については、全壊は約3,000棟、半壊は約9,000棟に及びました。

  新潟県中越地震では、土砂災害や斜面崩壊が多発しました。特に小千谷市では、山崩れが発生し、川をせき止めて人造湖を形成しました。また、新潟市では、液状化現象が広範囲に発生し、道路や建物が沈下しました。さらに、上越新幹線や在来線などの鉄道も大きな被害を受けました。

 

⑥岩手・宮城内陸地震

2008年(平成20年)6
死亡者・行方不明者数 23
負傷者数 2,291
住宅全半壊 約7,000
総被害額 0.9兆円

 平成20614843分、岩手県内陸南部を震源とするマグニチュード7.2の地震が発生しました。この地震は、深さ約8kmという浅い位置で発生した直下型地震でした。岩手県や宮城県で強い揺れが観測され、最大震度6強を記録したのは奥州市江刺区でした。

  岩手・宮城内陸地震では、死者・行方不明者は岩手県と宮城県でみられ、その数は23名に上りました。死者のうち、約半数は土砂災害や斜面崩壊によるものでした。負傷者は2,291名に達しました。住宅については、全壊は約1 ,000棟、半壊は約6,000棟に及びました。

  岩手・宮城内陸地震では、土砂災害や斜面崩壊が多発しました。特に奥州市では、山崩れが発生し、川をせき止めて人造湖を形成しました。また、盛岡市では、液状化現象が広範囲に発生し、道路や建物が沈下しました。さらに、東北新幹線や在来線などの鉄道も大きな被害を受けました。

 

⑦新潟県中越沖地震

2007年(平成19年)7
死亡者・行方不明者数 15
負傷者数 2,290
住宅全半壊 約13,000
総被害額 0.8兆円

 平成197161013分、新潟県中越沖を震源とするマグニチュード6.8の地震が発生しました。この地震は、深さ約17kmという浅い位置で発生した海溝型地震でした。新潟県や長野県で強い揺れが観測され、最大震度6強を記録したのは柏崎市でした。

  新潟県中越沖地震では、死者・行方不明者は新潟県内でみられ、その数は15名に上りました。死者のうち、約半数は建物の倒壊や落下物によるものでした。負傷者は2,290名に達しました。住宅については、全壊は約3,000棟、半壊は約10,000棟に及びました。

  新潟県中越沖地震では、火災や土砂災害が発生しました。特に柏崎市では、柏崎刈羽原子力発電所で火災が発生し、原子力安全への懸念が高まりました。また、柏崎市や長岡市などでは、液状化現象が広範囲に発生し、道路や建物が沈下しました。さらに、上越新幹線や在来線などの鉄道も大きな被害を受けました。

 

⑧福井県中部地震

2007年(平成19年)6
死亡者・行方不明者数 1
負傷者数 356
住宅全半壊 約6,000
総被害額 0.5兆円

 平成19618942分、福井県中部を震源とするマグニチュード6.8の地震が発生しました。この地震は、深さ約10kmという浅い位置で発生した直下型地震でした。福井県や石川県で強い揺れが観測され、最大震度6強を記録したのは福井市でした。

  福井県中部地震では、死者・行方不明者は福井県内でみられ、その数は1名に上りました。死者は建物の倒壊によるものでした。負傷者は356名に達しました。住宅については、全壊は約1,000棟、半壊は約5,000棟に及びました。

  福井県中部地震では、火災や土砂災害が発生しました。特に福井市では、液状化現象が広範囲に発生し、道路や建物が沈下しました。また、北陸自動車道や在来線などの交通インフラも損壊しました。さらに、美浜原子力発電所や高速増殖炉もんじゅなどの原子力施設も被害を受けました。

 

⑨長野県北部地震

2014年(平成26年)11
死亡者・行方不明者数 0
負傷者数 41
住宅全半壊 約4,000
総被害額 0.3兆円

 平成261122228分、長野県北部を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生しました。この地震は、深さ約10kmという浅い位置で発生した直下型地震でした。長野県や新潟県で強い揺れが観測され、最大震度6強を記録したのは小谷村でした。

  長野県北部地震では、死者・行方不明者はみられませんでした。負傷者は41名に達しました。住宅については、全壊は約500棟、半壊は約3,500棟に及びました。

  長野県北部地震では、土砂災害や斜面崩壊が多発しました。特に小谷村では、山崩れが発生し、川をせき止めて人造湖を形成しました。また、上信越自動車道や北陸新幹線などの交通インフラも損壊しました。

 

 

まとめ

・平成以降に発生した自然災害の中で、一番被害の大きかったものは、 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災) でした。死亡者・行方不明者数は 18,485名 に上り、総被害額は 1625兆円 にも及びました。

・地震・津波による被害が圧倒的に大きく、9つの災害のうち6つが地震・津波によるものでした。直下型地震や海溝型地震が特に危険であり、予測が困難な場合もありました。

土砂災害や斜面崩壊、液状化現象などの二次災害も多く発生し、人的被害やインフラ被害を拡大させました。特に山間部や沿岸部では、山崩れや津波によって川がせき止められて人造湖が形成されることもありました。

・原子力発電所や新幹線などの重要な施設も被害を受けることがありました。特に東日本大震災では、福島第一原子力発電所でメルトダウンが発生し、放射能汚染の問題が起こりました。

 

自然災害に対する対策としては、以下のようなことが挙げられます。

・防災意識の高揚と防災教育の推進
・防災情報の収集と共有
・避難計画の策定と訓練
・耐震化や防災設備の整備
・災害時の救助や復旧活動の支援

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