防災におけるヘルメットの重要性とその種類の用途

目次

はじめに
1.防災用ヘルメットの選び方
1-1 国家検定合格品であること
1-2 熱に強い材質であること
1-3 サイズや形状が合っていること
2.防災用ヘルメットの種類と用途
2-1 ハードハット
2-2 バイク用ヘルメット
2-3 クライミング用ヘルメット
2-4 代用できるもの
まとめ

 

 

はじめに

 日本は地震や火山噴火などの自然災害が多い国です。自然災害は予測が難しく、いつどこで起こるかわかりません。災害が発生したときに、自分や家族の命を守るためには、事前に防災グッズを準備しておくことが大切です。

 防災グッズとしてよく知られているものに、懐中電灯や非常食、防寒具などがありますが、もう一つ忘れてはならないものがあります。それはヘルメットです。

 ヘルメットは、災害時に大切な頭部を守るために必要なものです。地震や火山噴火などの災害では、建物や家具の倒壊や落下物によって頭部に重傷を負う可能性が高くなります。頭部は人間の身体の中で最も重要な部分であり、脳や目や耳などの感覚器官を含んでいます。頭部にダメージを受けると、命に関わるだけでなく、後遺症や障害が残ることもあります。

 ヘルメットは、このような危険から頭部を保護し、衝撃や熱を軽減する役割を果たします。災害時には、屋内でも屋外でもヘルメットを着用することが推奨されています。また、避難所や仮設住宅でもヘルメットを着用することで、安全性が高まります。

  しかし、ヘルメットと言っても様々な種類があります。防災用のヘルメットはどのようなものを選ぶべきでしょうか。ここでは、防災用ヘルメットの選び方とその種類と用途について解説します。

 

 

1.防災用ヘルメットの選び方

 防災用ヘルメットを選ぶ際には、以下の3つのポイントに注意しましょう。

1-1 国家検定合格品であること

・ヘルメットには国家検定があり、一定の基準を満たしたものを「保護帽」と呼びます。保護帽には、「飛来・落下物用」、「墜落時保護用」、「電気用」の3種類がありますが、この中で防災用ヘルメットとして使えるのは「飛来・落下物用」のものです。

・「飛来・落下物用」の保護帽は、上からの物の飛来や落下による危険を防いだり軽減させたりする機能を持っています。国家検定合格品であれば、品質や性能が保証されており、安心して使用できます。

・国家検定合格品であるかどうかは、ヘルメットの内側に「保護帽」のマークと「飛来・落下物用」の文字が記載されているかどうかで確認できます。防災用ヘルメットを購入する際には、必ずこのマークと文字をチェックしましょう。

 

1-2 熱に強い材質であること

・防災用ヘルメットを選ぶ際には、ヘルメットの材質にも注目しましょう。ヘルメットの材質はプラスチックですが、プラスチックの中には、熱によって硬くなる性質のものと、熱で軟らかくなる(溶ける)性質のものがあります。

・地震などの災害が発生すると、同時に火災などが起こることもあります。熱によって軟らかくなるプラスチック製のヘルメットを使用すると、火災現場でヘルメットが溶けてしまい、頭部を保護できなくなる危険性があります。

・防災用ヘルメットには、熱に強い「FRP(繊維強化プラスチック)」という材質のものを選ぶようにしましょう。FRPはガラス繊維やカーボン繊維などをプラスチックで固めたもので、高温にも耐えられる強度と軽さを兼ね備えています。

 

1-3 サイズや形状が合っていること

・防災用ヘルメットを選ぶ際には、サイズや形状が自分や家族の頭に合っていることも重要です。サイズや形状が合わないヘルメットは、着用時にずれたり外れたりする可能性があります。また、不快や圧迫を感じることもあります。

・防災用ヘルメットのサイズは、頭囲で表されます。頭囲は自分で測ることができますが、測り方によって誤差が生じることもあります。そのため、実際に試着してみることがおすすめです。

・防災用ヘルメットの形状は、丸型や角型など様々です。形状は好みや見た目だけで選んではいけません。形状によっては、視界や聴覚を妨げたり、動きやすさや通気性を損なったりすることがあります。自分の頭の形や顔の形に合ったものを選びましょう。

・防災用ヘルメットのサイズは、一般的にはS5456cm)、M5759cm)、L6062cm)の3種類があります。しかし、これらのサイズだけでは、子供や女性などの頭囲が小さい人や、大人でも頭囲が大きい人には合わない場合があります。

  そこで、子供や女性などの頭囲が小さい人にはXS5153cm)やXXS4850cm)といった小さいサイズのヘルメット、大人でも頭囲が大きい人にはXL6365cm)やXXL6668cm)といった大きいサイズのヘルメットを選ぶことができます。

  防災用ヘルメットは一人一つ持っておくことが望ましいです。しかし、子供は成長するために、定期的にサイズを確認して交換する必要があります。また、女性は髪型や髪飾りなどによってもサイズが変わる可能性があります。そのため、自分や家族の頭囲を測って最適なサイズのヘルメットを選ぶことが大切です。

 

2.防災用ヘルメットの種類と用途

 防災用ヘルメットは、上記のポイントに注意して選ぶ必要がありますが、それだけではありません。防災用ヘルメットには様々な種類があり、それぞれに特徴や用途があります。ここでは、代表的な防災用ヘルメットの種類とその特徴や用途について紹介します。

2-1 ハードハット

・ハードハットは、工事現場や工場などでよく見かけるヘルメットです。頭頂部に突起がある丸型の形状をしており、飛来・落下物から頭部を守る機能を持っています。国家検定合格品であれば、5kgの物体が3mの高さから落ちてきても耐えられる強度があります。

 ・ハードハットは、FRP製のものとABS樹脂製のものがあります。FRP製のものは熱に強く、火災現場でも使用できますが、重くて高価です。ABS樹脂製のものは軽くて安価ですが、熱に弱く、溶ける可能性があります。

・ハードハットは、防災用ヘルメットとして最も一般的なものです。家庭や職場で常備しておくことで、いざというときにすぐに着用できます。また、色やデザインも豊富にあるため、自分好みのものを選ぶことができます。

 

2-2 バイク用ヘルメット

・バイク用ヘルメットは、バイクや自転車に乗るときに着用するヘルメットです。頭部だけでなく顔や首もカバーする形状をしており、墜落時や衝突時に頭部を守る機能を持っています。国家検定合格品であれば、5kgの物体が3mの高さから落ちてきても耐えられる強度があります。

・バイク用ヘルメットは、FRP製のものとポリカーボネート製のものがあります。FRP製のものは熱に強く、衝撃に対する弾性も高いですが、重くて高価です。ポリカーボネート製のものは軽くて安価ですが、熱に弱く、紫外線で劣化する可能性があります。

・バイク用ヘルメットは、防災用ヘルメットとして使える場合もあります。例えば、地震や津波などで避難する際にバイクや自転車を使う場合や、火災現場から逃げる際に顔や首を保護する場合などです。ただし、バイク用ヘルメットは通気性が低く暑苦しいため、長時間着用することはおすすめしません。

 

2-3 クライミング用ヘルメット

・クライミング用ヘルメットは、登山や岩登りなどで着用するヘルメットです。頭部の前後左右に突起がある角型の形状をしており、飛来・落下物や岩壁などから頭部を守る機能を持っています。国家検定合格品であれば、5kgの物体が2mの高さから落ちてきても耐えられる強度があります。

・クライミング用ヘルメットは、FRP製のものとポリプロピレン製のものがあります。FRP製のものは熱に強く、衝撃に対する弾性も高いですが、重くて高価です。ポリプロピレン製のものは軽くて安価ですが、熱に弱く、紫外線で劣化する可能性があります。

・クライミング用ヘルメットは、防災用ヘルメットとして使える場合もあります。例えば、地震や噴火などで倒壊した建物や崩落した土砂などから逃げる際に頭部を保護する場合や、避難所や仮設住宅で生活する際に頭部を保護する場合などです。ただし、クライミング用ヘルメットは視界や聴覚を妨げる可能性があるため、注意が必要です。

 

2-4 代替できるもの

 防災用ヘルメットは、災害時に頭部を守るために必要な防災グッズですが、すぐに手に入らない場合や、かさばって持ち運びが困難な場合もあります。そんなときには、ヘルメットで代替できるものを探してみましょう。

 

ヘルメットで代替できるものとしては、以下のようなものがあります。

・バケツや鍋などの金属製やプラスチック製の容器:これらは頭部に被せて固定すれば、飛来・落下物からある程度の衝撃を防ぐことができます。ただし、熱に弱いものや錆びやすいものは避けましょう。

・雑誌や新聞紙などの紙類:これらは頭部に巻き付けてテープや紐で固定すれば、飛来・落下物から少しの衝撃を緩和することができます。ただし、水に濡れたり破れたりする可能性が高いので注意しましょう。

・帽子やタオルなどの布類:これらは頭部に被せてテープや紐で固定すれば、飛来・落下物からわずかな衝撃を緩和することができます。ただし、衝撃吸収性は低いので効果は限定的です。

・自転車用ヘルメットやスポーツ用ヘルメット:これらは頭部に着用すれば、飛来・落下物からかなりの衝撃を防ぐことができます。ただし、防災用ヘルメットと比べて規格や強度が異なる場合があるので注意しましょう。

 以上のように、ヘルメットで代替できるものは様々ですが、どれも本物の防災用ヘルメットに比べて劣る点があります。そのため、可能な限り防災用ヘルメットを準備しておくことが望ましいです。

 

 

まとめ

 防災におけるヘルメットの重要性とその種類と用途について解説しました。ヘルメットは災害時に自分や家族の命を守るために必要な防災グッズです。防災用ヘルメットを選ぶ際には、国家検定合格品であること、熱に強い材質であること、サイズや形状が合っていることに注意しましょう。また、ヘルメットの種類によって特徴や用途が異なります。自分の状況やニーズに合わせて最適なものを選びましょう。

 防災用ヘルメットは一人一つ持っておくことが望ましいです。災害はいつ起こるかわかりません。事前に準備しておくことで、災害時にパニックにならずに冷静に行動できます。防災用ヘルメットを購入して、自分や家族の命を守りましょう。


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