台風が与える二次災害とその対策

目次

はじめに
台風が与える5つの影響

1.豪雨と洪水
1-1 水害
1-2 地滑りと土砂崩れ
1-3 農業被害
1-4 経済への影響
2.高潮と海岸浸水
2-1 構造物への損害
2-2 海岸侵食
2-3 沿岸地域の生活への影響
3.風害建物や構造物への損害
3-1 倒木と影響
3-2 交通へ影響
3-3 電力供給への影響
3-4 停滞した作業と経済への影響
4.土砂災害地滑りや崩壊
4-1 堤防決壊
4-2 道路と交通への影響
4-3 農地や環境への被害
4-4 人命への危険
5.鉄道や航空の運行への影響 
5-1 鉄道の運行への影響
5-2 路線の被害
5‐3 安全確保
まとめ

はじめに

 台風は熱帯低気圧が発達したもので、中心の気圧が980ヘクトパスカル以中心付近最大風速が17メートル以上のものを言います。

 日本には7月から10月にかけて最も多く台風が接近・上陸します。30年間(1991~2020年)の平均では、年間で約25個の台風が発生し、約12個の台風が日本から300 km以内に接近し、約3個が日本に上陸しています。日本は台風の通過が頻繁に起こる地域であり、台風は日本にさまざまな影響をもたらします。この記事では、台風が日本に与える影響と、国や地域が取るべき対策について詳しく説明します。

 

台風が与える5つの影響

以下は台風によっておこる二次災害です

1.豪雨と洪水

1-1 水害

 台風による豪雨は、都市部や地方の低地に大量の雨水をもたらします。河川や排水システムの容量を超えるほどの雨水が降ると、水がたまり、道路や住宅地などが浸水することがあります。これにより、家屋や建物が損壊したり、交通や生活への影響が生じたりする可能性があります。 

1-2 地滑りと土砂崩れ

 台風による豪雨は、山岳地域での地滑りや土砂崩れのリスクを高めます。急傾斜地や河川付近などの地域では、大量の雨水が土壌を飽和させ、地盤が不安定になります。これにより、土砂が流れ出し、住宅や道路などが埋没する恐れがあります。

1-3 農業被害

 台風による豪雨は、農作物への影響も大きいです。農地が水浸しになると、作物が水没し、根腐れや枯死のリスクが高まります。また、農作物への雨水の直接的な被害だけでなく、農地や施設の被害、収穫の遅れなども農業に影響を及ぼします。 

1-4 経済への影響

 豪雨と洪水による影響は、経済にも大きな影響を与えることがあります。交通のまひや停電、企業や事業所の被害、農業や漁業の打撃などが生じることで、地域経済に大きな損失が生じる可能性があります。

 

 

2.高潮と海岸浸水

 台風による高潮やうねりにより、海水が堤防や防潮堤を超え、沿岸地域に浸水します。海岸沿いの低地や海抜の低い地域では、広範囲にわたる浸水が発生することがあります。これにより、住宅や建物、道路、農地などが被害を受ける可能性があります。 

2-1 構造物への損害

 高潮やうねりによって引き起こされる力が、建物や構造物に影響を及ぼすことがあります。堤防や防潮堤の損壊や決壊、海岸沿いの建物や施設の被害が発生する可能性があります。 

2-2 海岸侵食

 台風による高波やうねりは、海岸線の浸食を引き起こすことがあります。波の力によって砂浜や海岸の土地が侵食され、海岸線が後退する可能性があります。これにより、海岸保護や海浜地域の環境への影響が生じます。

2-3 沿岸地域の生活への影響

 海岸地域では、海水浸入による飲料水や農地の塩害、漁業への影響などが発生する可能性があります。また、海岸に近い観光地やリゾート地では、施設や観光資源への被害が生じ、地域経済にも影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3.風害建物や構造物への損害

 台風の強風は建物や構造物に直接的な損害を与える可能性があります。屋根の瓦やシートが飛散し、窓ガラスが割れるなどの被害が発生することがあります。特に強力な台風の場合、建物の倒壊や構造物の破損が生じることもあります。 

3-1 倒木と飛散物の危険

 台風による風は樹木を倒すことがあります。倒木は道路や電線に被害を与え、交通の混乱や停電の原因となる可能性があります。また、風によって飛ばされる枝や物体も危険となり、人や物に損害をもたらすことがある。

3-2 交通へ影響

 台風による風の強さや悪天候は、航空機、列車、フェリーなどの交通機関に影響を与えることがあります。運休や欠航、遅延が生じ、交通の混乱が発生する可能性があります。特に風速が非常に高い場合、飛行機や船舶の安全が懸念されるため、運行が制限されることもあります。 

3-3 電力供給への影響

 台風による風は電線や電柱に影響を及ぼし、停電の原因となることがあります。風によって倒れた木や飛ばされた物体が電線に接触すると、電力供給に問題が生じる可能性があります。停電により、生活や事業活動への影響が生じることもあります。 

3-4 停滞した作業と経済への影響

 台風の接近や通過によって、作業や生産活動が停滞することがあります。適切な対策や安全確保のために、建設現場や工場などの作業が一時中断されることがあります。これにより、地域経済への影響や生活への影響が生じる可能性があります。

 

4.土砂災害地滑りや崩壊

 台風による豪雨は地盤の飽和や緩みを引き起こし、急傾斜地や斜面での地滑りや崩壊のリスクを高めます。土砂が流れ出し、住宅や道路などの建物やインフラが被害を受ける可能性があります。特に山岳地域や河川の近くなど、土砂災害のリスクが高い地域では注意が必要です。

4-1 堤防決壊

 風による豪雨は河川の水位を急激に上昇させることがあります。この結果、堰堤やダムの負荷が増加し、決壊のリスクが高まります。堰堤決壊による洪水は、沿岸や河川沿いの地域に甚大な被害をもたらす可能性があります。 

4-2 道路と交通への影響

 台風による土砂災害は道路網にも影響を与えることがあります。降雨量が増えると、道路上の土砂が流れ出し、通行不能になる可能性があります。これにより、交通のまひや孤立した地域が生じ、物資の供給や避難の困難さが増加する可能性があります。 

4-3 農地や環境への被害

 台風による土砂災害は農地や環境にも大きな影響を与えることがあります。農地が土砂に埋没し、農作物や畜産業への打撃が生じる可能性があります。また、土砂の流出により河川や湖沼の水質が悪化し、生態系への影響が生じることもあります。

4-4 人命への危険

 土砂災害は人命にも危険をもたらす可能性があります。土砂崩れや地滑りが発生すると、住民や作業員が巻き込まれるリスクがあります。早期の警戒や適切な避難計画の実施が重要です。

5.鉄道や航空の運行への影響

5-1 鉄道の運行への影響

 運休・遅延: 台風が接近すると、強風や悪天候のため、鉄道の運行に制限がかかる場合があります。安全確保のため、一部の列車が運休したり、運行が遅延することがあります。 

5-2 路線の被害

 台風による強風や土砂災害により、鉄道路線に被害が生じる可能性があります。例えば、倒木や電線の被害、土砂による軌道の損傷などが発生することがあります。これにより、一部の路線が運休したり、運行区間が短縮されることがあります。

5-3 安全確保のための速度制限

 台風の影響により、路線上の安全性が損なわれる場合、速度制限が実施されることがあります。風速や路線の状態に応じて、列車の速度を制限することで安全を確保します。 

5-4 航空の運行への影響

 運休・欠航: 台風が接近すると、強風や悪天候のため、航空便が運休または欠航する場合があります。飛行機の安全を確保するため、空港や航空会社が運行を制限することがあります。 遅延: 台風の影響で空港の運営が制限されたり、飛行計画が変更されることがあります。そのため、航空便の遅延が生じることがあります。

5-5 飛行経路の変更

 台風が接近すると、風向や風速が予測困難な状況になることがあります。このため、航空機は安全を確保するために飛行経路を変更することがあります。 空港施設への被害: 台風による強風や豪雨により、空港施設に被害が生じることがあります。滑走路やターミナルビルの損傷、浸水などが発生すると、運行に支障をきたす可能性があります。

 

6.停電と通信障害

6-1 生活への影響

 台風の強風や豪雨により、電柱や電線が倒れたり、施設が損傷することで停電が発生する可能性があります。停電により、家庭や事業所での照明、冷暖房、調理、情報通信などの生活に必要な機能が制限されることがあります。

6-2 交通への影響

 停電により、信号機や鉄道の運行制御システムが停止する可能性があります。これにより、道路や鉄道の交通が混乱し、運行が一時的に停止することがあります。

6-3 医療・福祉への影響

 停電により、病院や介護施設などの医療・福祉施設が電力供給に制約を受ける可能性があります。医療機器の動作や照明、空調などが停止することで、医療の提供や高齢者・障害者の生活への影響が生じることがあります。

6-4 通信障害の影響

 携帯電話や固定電話の利用制限: 台風の影響により、通信施設や電柱が損傷し、携帯電話や固定電話の通信が制限されることがあります。通話やメッセージの利用が困難になる場合があります。

6-5 インターネットへのアクセス制限

 通信施設や回線の被害により、インターネットの接続が制限されることがあります。これにより、ウェブサイトへのアクセスやオンラインサービスの利用が困難になる場合があります。

6-6 災害情報の伝達の困難さ

 台風による通信障害は、災害情報の伝達にも影響を与える可能性があります。避難勧告や緊急情報の受信が困難になり、住民の安全確保や適切な対応が難しくなる場合があります。

 

7.台風への対策 

7-1 気象庁による情報提供

 気象庁は台風に関する情報を随時発表し、台風の進路や勢力、影響が予想される地域などを報告します。これにより、一般の人々や関係機関は台風の接近に備えることができます。

7-2 避難勧告と避難指示

 気象庁や地方自治体は、台風の接近や影響が予想される地域に対して、避難勧告や避難指示を発令することがあります。これにより、住民は適切なタイミングで安全な場所に避難できます。

7-3 防災訓練

 国や地方自治体は定期的に防災訓練を実施し、住民や関係機関の防災意識を高めます。適切な行動や避難手順を訓練し、災害時に冷静かつ迅速な対応ができるようにします。

7-4 防災施設の整備

 国や地方自治体は、河川の治水対策や堤防の整備、洪水対策施設の設置など、台風や豪雨による被害を最小限に抑えるための施設を整備しています。

7-5 土砂災害対策

 土砂災害のリスクが高い地域では、崩壊防止工事や護岸の整備などを行い、土砂災害の発生を予防します。また、適切な避難場所や避難経路の設置も行われています。

7-6 建築物の耐震化

 日本では地震や台風などの自然災害に備えて、建築基準法に基づいた耐震化が進められています。建物の強度や構造の安全性を確保し、災害時の被害を軽減します。

 

まとめ

 適切な情報の収集と警戒: 台風の接近や進路予測に関する情報を、気象庁や関連機関の公式発表など信頼性の高い情報源から収集しましょう。台風の進路や強さに応じて警戒レベルを把握し、早めの対策を取ることが重要です。


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