土砂災害から身を守るための対策

目次

はじめに
1.住んでいる場所が「土砂災害警戒区域」かどうか確認する
2.雨が降り出したら土砂災害警戒情報に注意する
3.警戒レベル4で全員避難する
3-1 土砂災害の前兆現象に気づく
3-2 避難の際の注意点
3-3 土砂災害に巻き込まれた場合の対処法
まとめ

 

 

はじめに

 日本は、台風や大雨、地震などの自然災害が多く発生する国です。その中でも、土砂災害は、がけ崩れや土石流、地すべりなどによって、一瞬にして多くの人命や財産を奪う恐ろしい災害です。

  土砂災害から身を守るためには、私たち一人ひとりが日頃から備えておくことが重要です。ここでは、土砂災害から身を守るために最低限知っておくべき3つのポイントと、具体的な対策を紹介します。

 

1.住んでいる場所が「土砂災害警戒区域」かどうか確認する

 土砂災害のおそれのある地区は「土砂災害警戒区域」等とされています。普段から自分の家がこれらの土砂災害のおそれのある地区にあるかどうか、都道府県や国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」などで確認しましょう。

  また、避難の際にどこにどのように逃げるのか知っておくことが大事です。市町村が作成する土砂災害ハザードマップを利用して避難場所や避難経路を確認しましょう。詳しくは、お住まいの市町村にお問い合わせください。

  ただし、土砂災害警戒区域等でなくても、土砂災害が発生する場合があります。付近に「がけ地」や「小さな沢」などがあれば注意してください。

 

 

2.雨が降り出したら土砂災害警戒情報に注意する

 雨が降り出したら、「土砂災害警戒情報」に注意しましょう。土砂災害警戒情報は、大雨による土砂災害発生の危険度が高まったときに、市町村長が避難指示を発令する際の判断や住民の自主避難の参考となるよう、都道府県と気象庁が共同で発表する防災情報です。

  これは、警戒レベル4相当情報であり、市町村が警戒レベル4避難指示を発令する目安となる情報で、災害の切迫度が高まっていることを示しています。

  土砂災害警戒情報は、気象庁ホームページや各都道府県の砂防課などのホームページで確認できるほか、テレビやラジオの気象情報でも発表されます。大雨による電波障害や停電などいざというときのために携帯ラジオを持っておくとよいでしょう。

  都道府県や市町村によっては、携帯電話などに自動的に土砂災害警戒情報を教えてくれるサービスもあります。さらに、キキクル(危険度分布)など、15kmのメッシュ単位の危険度が気象庁や都道府県のホームページで確認できます。

 

 

3.警戒レベル4で全員避難する

 お住まいの地域に土砂災害警戒情報(警戒レベル4相当情報)が発表されたら、自治体からの避難指示の発令(警戒レベル4)に留意するとともに、避難指示が発令されていなくても、キキクル(危険度分布)などを参考にし、家族・親戚や地域内の方々に声をかけあい、早めに近くの避難場所など、安全な場所に避難しましょう。

  特に、お年寄りや障害のある人など避難に時間がかかる人は、移動時間を考えて早めに避難させることが大事です。夜中に大雨が予想される場合には、暗くなる前に避難することがより安全です。

  また、強い雨や長雨のときなどは、市町村の防災行政無線や広報車による呼びかけや緊急速報メールなどにも注意してください。

 

 土砂災害の多くは木造の1階で被災しています。どうしても避難場所への避難が困難なときは、次善の策として、近くの頑丈な建物の2階以上に緊急避難するか、それも難しい場合は家の中でより安全な場所(がけから離れた部屋や2階など)に避難しましょう。

  夜間の豪雨時などには避難をためらってしまいますが、普段から避難訓練に参加し避難に慣れていれば避難行動を起こしやすくなります。市町村などがおこなう土砂災害の避難訓練に参加しましょう。

 

3-1 土砂災害の前兆現象に気づく

土砂災害は突然発生することが多いですが、時には前兆現象が見られることもあります。以下のような現象に気づいたら、すぐに安全な場所に避難しましょう。

・土や石が崩れたり、滑り落ちたりする音がする
・地面や壁にひび割れや傾きが生じる
・水が濁ったり、泥や砂が混じったりする
・水位が急に上昇したり、減少したりする
・植物の根元がむき出しになったり、倒れたりする
・道路や橋などのインフラに異常が見られる

 

3-2 避難の際の注意点

 土砂災害から身を守るためには、避難することが最善の対策です。しかし、避難する際にも以下のような注意点を忘れないでください。

・避難する前には必要最低限の持ち物(非常持出袋など)を準備しておく
・避難するときはできるだけ家族や近所の人と一緒に行動する
・避難経路は安全で確実なものを選ぶ(沢や川沿い、崖下などは避ける)
・避難場所は高台や堅固な建物などで、土砂災害の危険性が低いところを選ぶ
・避難後は市町村や避難所の指示に従う

 

 

3-3 土砂災害に巻き込まれた場合の対処法

  土砂災害の前兆現象に気づいたら、すぐに安全な場所に避難しましょう。前兆現象とは、土や石が崩れたり滑り落ちたりする音、地面や壁にひび割れや傾きが生じる、水が濁ったり泥や砂が混じったりする、植物の根元がむき出しになったり倒れたりする、道路や橋などのインフラに異常が見られるなどです。

 目の前に土砂が迫ってきている場合は、土砂の流れに対して直角に逃げるか、近くの頑丈な建物の階以上に避難しましょう。土砂の流れに沿って逃げてしまうと追いつかれてしまいます。

 生き埋めになってしまった場合は、まず落ち着いて呼吸を整えましょう。上下がわからない場合は唾を垂らして下に行く方向が地面になります。土砂で身動きが取れない場合は助けを呼ぶ必要があります。携帯電話や笛などで音を出したり、手足を動かしたりして救助者の注意を引きましょう。

 土砂災害から脱出できた場合は、自分の安否を確認しましょう。怪我をしている場合は応急処置を行い、医療機関へ連絡しましょう。周囲に巻き込まれた人がいる場合は救助活動に協力しましょう。ただし、自分の安全を確保しながら行動することが大切です。

 以上が土砂災害に巻き込まれた場合の対処法です。土砂災害は予測が困難で、発生したら逃げる時間がありません。そのため、日頃から自分の住んでいる場所や周辺の危険箇所を把握し、防災情報や前兆現象に注意して早め早めの行動を心がけることが大切です。

 

 

まとめ

 この記事では、土砂災害から身を守るために知っておくべきことと対策を紹介しました。土砂災害は予測が困難で、発生したら逃げる時間がありません。そのため、日頃から自分の住んでいる場所や周辺の危険箇所を把握し、防災情報や前兆現象に注意して早め早めの行動を心がけることが大切です。

 

また、土砂災害だけでなく、他の自然災害にも備えておくことが重要です。防災グッズや非常食などを用意しておくだけでなく、家族や近所の人と連絡方法や避難計画を話し合っておくこともおすすめします。


関連記事